朝晩涼しくなってきたり、大分日も短くなってきていて、夏も終わりよね~。
なんて思うんだけど…。
終わりどころか、パワーアップさえ感じるのが蚊。
夏は蚊との戦いである。
そして、今時期の蚊はハンパない。
どこからともなくやってきては、断りもなく血を吸い
かゆみを残して去っていくアイツだ。
まったく忌々しいったらありゃしない。
油断も隙もありゃしない。
部屋の中に一匹でも入ってこようもものなら大騒ぎである。
土足で、しかも無断で、ヒトの家に入ってきた挙げ句、優雅に飛び回り、そ知らぬふりして、勝手に血を吸い、かゆみと言うなんとも不愉快な置き土産までしていってくれるではないか。
そんなヤツを放っておくわけにはいかない!
戦うのみだ!
決戦だ!
フフフ。あたしを甘く見るんじゃないよ。
いよいよ、ヤツの出番だ!
最終兵器!電撃殺虫ラケット!!
行くぜ!相棒!!
ラケット片手に狙いを定める…
いたーー!あそこだーーー!
ロックオン!!
ラケットを振りかざし鮮やかにヒト振り!
んふふ。
チョロいもんだぜ~。
だから言っただろうよ。
あたしを甘く見るんじゃないよ。
ってさ。
いや、この蚊取りラケット(我が家ではそう呼んでいる)の威力。
丸腰で戦うよりも勝率は高く、戦闘時間も短い。
その上後始末も簡単なのだ。
あえて難点を上げるとすれば、携帯できないこと。
タイミングよく手近になければ丸腰となってしまう。
あたしの片手がフック船長もビックリ!!の蚊取りラケットだったら!と思うことしばしば…。
そして、時に、勝利の証"パチン"と言う音と共に火花が見える事があるのだ。
いつぞや、どこぞのバス停。
ナゼか?そこは蚊が多かった。
もうやめてくれ。どっかに言ってくれ。
と思ったが、他にターゲットはいない。
まさにあたしヒトリだった。
あたしは、大人の人間だ。
ヤツらよりデカサじゃ負けてない。
けれど、ヤツらには飛ぶと言うスキルがある。
このあたしにはないスキルだ。
バスよ早く来てくれ。と心から願った。
そして、バスが来た。
イソイソと乗り込んだ。
思いのほか空いていたので座った。
ヤレヤレと思ったのも束の間、ナニかが視界を横切った。
まさか!
あたしってば連れて来ちまったのかい!?
なんてこったい…
いいさ。
あたしの近くにやってこようものなら…
目にもの見せてやる!!
とひとりスタンバった。
すると、パチン!と手を叩く音、
パチンパチンと数回続いた。
じーさんだ!
とても俊敏な動きを見せるとは思えない出で立ちのじーさんだった。
そして、見事仕留めたではないか!
思わず拍手を送りたくなったが…グッとこらえた。
そんなことに気を取られているうちに、何処ぞのバス停から発車するところだった…。
制服を来た女子高生らしい三人組が乗ってきたようだ。
「ヤバっ蚊だ」ひとりが言った。
プ~ンと言う音が思いの外よく聞こえる。
近くにいるってことかい?
あーもーイヤだ。
でも、こうなりゃ仕方ねー。
あのじーさんを見習って
射程圏内に来たら戦うしかないな。
と覚悟を決めた。
そうこうしているうちに、目的地に到着した。
あとは電車に乗るのみだ。
通りの向こうから見えていたディスカウントショップの前を通りの過ぎる…
ん?
イヤ~な蚊を一撃!「電撃殺虫ラケット」というポップと共に山積みの蚊取りラケット…。
もう目が釘付けだ。
目が蚊取りラケットを捉えて離さない。
良く見もせず、仕事中であることも忘れ手に取りレジに向かった。
これさえあればなにも怖くない!
となぜか勇気が出てきた。
帰宅後、ワクワクしながら蚊取りラケットを開封した。
おぉ~。
なんだなんだこれは(笑)
金属製のガットが勇ましいじゃないか!
どんなもんか?
初動確認がしたくてたまらない。
なのに、ナゼか?そんな時に限って蚊は一匹もいない。
外に出てみても寄ってくる気配すらない。
何でだろな~。こういう時に限ってさ。
おっと!こんなことしちゃいらんねー。
半ばふてくされて部屋戻りイソイソと動き始めた。
そうこうしているうちに、コゾーさんご帰還。
「かーちゃん。これなに?」
と、蚊取りラケットを手にコゾーさん。
「えっ何?あーそれね…」
おいおい…
どーしたのさ?一体何があったのさ?
コゾーさんの顔面は…数ヶ所蚊に刺されていた…。